SCIフォーラム インタビュー【小田切 須美】

小田切 須美(おだぎり すみ)

中日本高速道路株式会社 総務・秘書チームリーダー
愛知県在住。大学卒業後、日本道路公団(現・中日本高速道路株式会社)に入社。2010年に経営企画部(CSR担当)に異動。経営企画部在籍中に、自社の農山村活性化のボランティア活動を立ち上げる。2013年からは、社会イノベーター公志園の中部東海公志園世話人会の事務局として運営に携わり、2016~2017年は社会イノベーターフォーラムの事務局として企画・運営に携わる。

関わっていくうちに全然違う外の世界があるのだということが、かなり刺激になった

――小田切さんと社会イノベーター公志園とはどのような関わりだったのか教えていただけますか?

小田切 当社の前社長だった金子さんが、社会イノベーター公志園という活動に誘われたとき、私は経営企画部でCSRを担当していました。当時の金子社長から「こういうものがあるからやってくれないか」と言われて引きうけたのですが、最初は、本当に海のものとも山のものとも分からず、「何だ、この世界は」というような不思議な感覚を持っていました。その後1年、2年、3年と関わるなかで、だいぶ見方が変わり、世の中には会社とは全然違う外の世界があるのだということが、かなり刺激になったので、自分としてもこのような活動に積極的に関わっていきたいなという気持ちが強くなり、現在までやってきました。

小田切 全国規模の社会イノベーター公志園の活動は2016年頃から一時小休止となったので、中部・東海で独自プログラムをやろうという話になりました。具体には社会イノベーターフォーラムという形で起業家をプロボノが支援する活動を始めることになり、その事務局を務めさせていただきました。今回、犬塚さんや中島さんに、中部・東海で火を絶やさないようつないでいただいて、本当にありがたいなぁと感謝の気持ちでいっぱいです。

 

当時の名古屋にはCSRのプラットフォームみたいなものが全くなかった

――そういう意味では、この地域のソーシャル、今でいうとSDGs的な活動というのは、小田切さんにはどのように映っていますか。

小田切 私が経営企画部でCSRの担当をしていた際、東京にはCSRの会合も多く、プロボノも東京にありました。大阪にも分科会のような活動はあったのですが、名古屋には、CSRのプラットフォームみたいなものが全くなかったので、仕方なく東京に行ったり大阪に行ったりして情報を得るという状態でした。当時から名古屋にもそういう活動や場があったらいいなとは思っていました。

ただ道路をつくるだけ、使っていただくだけで貢献なのか

――NEXCO中日本さんは、国というか公に近い機関で、地域とのつながりや地域に対する役割や社会的責任が大きい会社だと思います。そういう観点から、企業の社会の公器であるということなども含めて、どのようなスタンスをお持ちでしょうか。

小田切 そうですね。会社の設立の目的そのものが「高速道路をつくる」ということですので、やはり社会経済に貢献したり、地域への貢献をしたりするということは、当社の本業です。いわゆるCSRとかSDGsという話が出てきても、基本的には本業で発揮させていただいている、やらせていただいているという意識を持っています。ただ「それだけでいいのか?」ということは個人的に思っています。やはり、ただ高速道路をつくるだけ、使っていただくだけということではない部分で、当社としての関わりとしてもっと広い社会課題を助けていかなければいけない、何かお力にならなければいけないということを、個人的にはすごく思っています。

小田切 そんな気持ちもあり、CSRの担当だったときに、自分で農山村活性化の活動を社内で立ち上げました。これは社員のボランティア活動なのですが、現在、高速道路の沿線地域6カ所に、社員が年間20回程度行って活動しています。地元で困っていることを社員も一緒に解決しようという取組みで、今も私はほぼ皆勤賞で参加しています。

――ご自身で立ち上げられたのですね。

小田切 はい。ですので、そういう意識は他の社員にも持ってもらいたいという気持ちもあり、こういった活動には皆さんにも積極的に参加してもらいたいと思っているところです。

 

地域の皆さんに応援されてこそのわが社

――NEXCO中日本さんの中でも地域連携の活動など、いろいろされていると思いますが、そこから社会的な事業を生み出している事例もあると思うのです。その辺の話をちょっとお聞かせいただけますか。

小田切 先ほど申し上げたように、高速道路をつくる以外の分野で、会社として地域の活性化に努めていかなければいけないという意識は、会社の中にかなり浸透してきています。

地域づくり研修という形で、社員が1年間、自分で地域の課題を探してきて、それをクラウドファンディングという形で解決するという取り組みをスタートして、もう3年が経ちました。また、農業法人を立ち上げて、耕作放棄地の解消に努めていこうということもやっています。このような取組みをしていかないと、当社としても会社の存在意義みたいなものがなくなってくるのではないかと思います。地域の皆さんに応援されてこそのわが社ですので、当社の新規事業の部分でもSDGsの観点も入れながら取り組んでいるというところです。

――そういう意味では、社会の公器のような会社であるからこそ、それをよりやっていかないと、それがより伝わらないというような部分があるのですね。

小田切 そうですね。やはり、高速道路をつくって「はい、どうぞ、皆さん通ってください」というだけでは駄目ですよね。もっと会社の持っている資源を使って、もっと地域の方々に愛される会社になっていかなければいけないと思っています。

 

いろんな方々がセクターを越えてつながる場が、あるようでなかった

――このSCIフォーラムに期待することなどをお聞かせください。

小田切 そうですね。やはり名古屋、東海地区にはつながる場が非常に少ないなと感じています。自分たちが出ていかないからかもしれないですが、いろいろな方々とセクターを越えてつながる場があるようで無かったと思います。

このSCIフォーラムは、活動に参加するハードルは少し低めにして、まずはいろいろな方に参加してもらい、こういう取り組みがあるのだということを知ってもらって、実際にやる気になれば次のステージに行ける、というような、一歩踏み出したいけどどうしたらよいか分からないと思っている方々が、一歩踏み出してもらえるような場になったらいいなと思っています。

(インタビュアー:中島康滋)