SCIフォーラム インタビュー【原田 さとみ】

原田 さとみ(はらだ さとみ)

NPO法人フェアトレード名古屋ネットワーク 前代表/理事

エシカル・ペネロープ株式会社 代表取締役

モデルデビュー後、東海圏を中心にタレントとして活動。人・環境・社会に配慮したエシカル理念普及と、貧困削減・環境保護・地域貢献につながるフェアトレードタウンを推進し、街ぐるみでの運動を展開。 2015年には名古屋市をフェアトレードタウンとする。名古屋観光文化交流特命大使として「フェアトレードタウン」を名古屋市の魅力として発信し、日本国内でのフェアトレードタウンを広める活動を行う。

この商品はどこからどうやって来たのか、その商品を買った後、お客さまがそれを使われた後、どうなるのか

――原田さんのこれまでのお仕事や活動をお聞かせください

原田 現在はエシカル・ペネロープ株式会社、名前のとおりエシカル、「倫理的な」ということを頭に付けた、ファッションの店舗の運営をはじめとして、輸入をしたり、イベントを企画したり、それからフェアトレードの推進をしたりといったことを幅広くしている会社を経営しています。

もう一つは、NPO法人フェアトレード名古屋ネットワークで、名古屋を軸にしたフェアトレードを街ぐるみで推進する、フェアトレードタウンを推進する、ということをしています。

――その中では、原田さんはどのような想いで、活動をされているのですか。

原田 モデルデビュー後、タレントとしてテレビや雑誌などで中部・東海圏でのお仕事をいただくようになりました。この地域で皆さんに支えられた20代があります。

30代で子どもを産み、その前後でフェアトレードのことを知りました。当時からファッションのセレクトショップも経営していましたので、「この商品はどこからどうやって来たのか、その商品を買った後、お客さまがそれをどう使うのか、使われた後、どうなるのか」というところまで循環を考えるようになりました。

そして、エシカルファッションに出会い、今から15年程前にエシカルファッションを名古屋に導入しました。

 

SDGsの17のゴール、どれも当てはまるのがフェアトレードタウン運動

――最近はSDGsという言葉が名古屋でもよく聞かれるようになったと思うのですが、このSDGsとフェアトレード、エシカルとの関連性を、原田さんの活動の視点でお聞かせください。

原田 フェアトレードというものを私たち(フェアトレード名古屋ネットワーク)は、「地球とのフェアトレード」というテーマで広く捉えています。それは、国際協力の意義でのフェアトレードはもちろんですので、(1)途上国に対しての海外とのフェアトレード。加えて(2)国内や地域内でのフェアトレード、(3)自然環境に対しての負荷をできるだけ少なくする地球の自然に対してのフェアトレード、ということを3本柱にして、フェアトレードの理念を広げて仲間を増やしています。

これは「エシカルな理念」でもあるわけです。SDGsの17のゴール、どれも当てはまるのがフェアトレードタウン運動なのです。一般的には12番の「つくる責任、つかう責任」がフェアトレードといわれているのですが、私たちは全部が関わると思って「SDGs=エシカル=フェアトレードタウン名古屋」という形で、ともに推進できたらと思って活動しています。

生産地と公正な平等な取引を目指してほしい

――――企業にとってフェアトレードというのはどのように取り組むのが一番良いと考えますか。

原田 フェアトレードはビジネスですので、決して寄付ではありません。その企業にとって新たな負担を作るためのものではないのです。

生産地と公正な取引をしてほしい、という思いです。ですから、CSRとして関わろうというレベルではなく(生産していないところはそれでもいいのですが)、物を作るにあたって、「その生産地とどれだけ対話をしているか」「どれだけ透明性を持って貿易をしているか、取引をしているか」というレベルまで考えることが大事だと思っています。実はどの企業も皆、フェアトレードに関わっている、もしくは、フェアトレードの理念に改善できるのだということをお伝えしたいです。

『フェアトレード』という言葉を使っていなくても、思いやりがあり、責任あるサスティナブルであればいいと思っています

――今回SCIフォーラムに参加されるにあたって、期待することや、あるいはこういうことをしていきたいということがあれば、お聞かせください。

原田 今までは市民の草の根の運動で盛り上げてきたフェアトレードですが、フェアトレードタウン運動となったことで、街ぐるみで様々な立場の皆さんが関わるようになりました。市や町がフェアトレードタウンに国際認定となりますと、公式な活動となり、市役所内に担当窓口が設置され、公共の調達にもフェアトレード商品が導入されます。大学・高校・中学と教育機関でも、そして企業でも関わりが増えてきます。時代は次へと進んだと感じています。

原田 次は、企業による本格的なフェアトレード理念の導入に期待しています。特にタウン認定都市では動きやすくなった思いますし、ビジネスチャンスでもあるのではないかと思います。フェアトレードを導入することで、生産・労働背景での持続可能が保たれ、利益が正しい方向へ分配されます。優しい配慮のある倫理的ビジネスは、その企業のファンを増やします。これも大切な利益かと思います。私たち市民団体では、そのような理念の企業の商品を選ぶ、賢い消費者を増やす活動を展開することで、企業を応援します。

そこにSDGsという言葉・概念がやってきていて、これは必然の流れなのではないかなと感じています。私は『フェアトレード』という言葉を使っていなくても、思いやりがあり、責任のあるサスティナブルであればいいと思っています。フェアトレードというのは、17のゴール、どれにも当てはまることだと思うからです。

 

これからは生産地に対しても温かい思いを馳せられる企業が、健全な企業だと思います

――企業が活動として、まずSDGsの活動をしようという時に、フェアトレードというのは関わりやすい第一歩であると同時に、事業をしていく上で考えなければならない大切なことですよね。

原田 フェアトレードは、途上国が原料の生産地であるチョコレートとかコーヒーとか香辛料とか服とか、フェアトレード認証ラベルのあるものですとかを買うという個人消費が主流でしたが、それだけでなく、日本の企業が途上国からの原料やその生産背景に対して、フェアトレード国際認証を自社で取得することで、大きな量での売り込みができるように変化してきました。大量の安定した発注ができるようになることで、公共調達や、全国規模での販売など、消費がぐんと増える可能性を秘めています。

これまでは、企業は買ってくださるお客さまにいいものを提供する、ということを大事にされ、会社の社員も大切にされてきましたが、これからは製品の原料や素材を作る生産地に対してもパートナーとして温かい思いを馳せられる企業が、健全な企業だと私は思います。それがフェアトレードです。

生産地で働く方々にも、販売する方々にも、そしてその製品を買う方々にも、思いやった方法で製品の製造をすることは、世界で起こっている課題の解決につながります。それができるのが企業であり、その責任を担っていると思います。企業活動の中で、お金を廻らせ、それが生産地、販売地、消費地に恩恵ををもたらせますよう願っています。

そのために、街ぐるみで市民みんなで一緒に、フェアトレードの理念を推進するフェアトレードタウン運動でお役に立てましたらと思っています。

(インタビュアー:中島康滋)